「支援外交」でベトナムに急接近し始めた中国

2005年12月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス

 中国の胡錦濤国家主席が十月三十一日から三日間、ベトナムを公式訪問した。この訪問で、中国は長年の懸案であった中越国境問題の解決を提案し、両国は大筋で合意に至った。さらに中国は両国間の陸上輸送の強化への様々な支援を表明した。ここにきて矢継ぎ早に打ち出されたベトナムとの関係強化策は、中国にとって東南アジア諸国連合(ASEAN)市場攻略への重要な一歩とみられている。 今回の胡主席の訪越で、中国はベトナムに対し中越国境からベトナムの首都ハノイを結ぶ鉄道の信号システムの改善に五億五千万元(約七十五億円)の借款を供与することを決定。さらにハノイと雲南省昆明及び広西チワン族自治区南寧とをそれぞれ結ぶ高速道路の建設について、中国が支援する考えをベトナム側に表明した。 これらの計画を具体化させるため、中国は張春賢交通相を十一月中旬にベトナム入りさせることを決定。また、十一月七日には中越両国の税関当局者がハノイで会談し、両国間の国境貿易に関して通関手続きの近代化や簡素化、密輸や不正防止での協力を進める協定を結んだ。 輸出のさらなる拡大で持続的な経済発展を狙う中国にとって、ASEANは開拓余地が十分に残されている市場だ。七月には中国とASEANの自由貿易協定(FTA)が部分的にスタート。一連のベトナムに対する支援は、地理的に「ASEANの玄関口」となるベトナムを取り込むという明確な戦略だ。

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