老朽原発を多数抱えるフランス電力公社の“政治的”な一部民営化

2005年12月号
エリア: ヨーロッパ

 フランス政府は、政府が全額出資するフランス電力公社(EDF)の株式の一部公開に踏み切った。EDFは連日、株式の購入を呼びかける全面広告を主要紙に載せ大キャンペーンを展開している。十一月下旬には株式市場での取引が始まる。政府の株式保有比率は八五%に下がり、調達金額は約七十億ユーロに達する見通しだ。 EDFにとって、株式公開による市場からの資金調達は何があっても実現しなければならない課題だった。フランスでは今後、原子炉が相次ぎ寿命を迎える。解体工事や、解体に伴う放射性廃棄物の処理費用として、二〇一〇年頃にかけて約百二十億ユーロが必要になるからだ。つまり増資はその巨額の費用を捻出するためで、株主からみれば、新規事業や研究開発への前向きな投資とは性格が異なる。 政府は今回の株式公開を「完全民営化」への一歩とは位置づけていない。法律上は政府保有株式を三〇%まで放出できるが、一五%にとどめ経営に対する影響力を残した。当面は、政府の保有比率を八五%からさらに引き下げる予定もない。EDFにも、必ずしも完全民営化へのこだわりはない。政府と良好な関係を保ちつつ資金調達力を高め、徐々に国際展開を進めていく指向だ。

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