ひそかに近づく「制作プロダクション買収」の波

執筆者:神谷二郎 2005年12月号

本当のソフト制作能力は、テレビ局ではなくプロダクションがもつ。ネット用のコンテンツ争奪戦は、必然的に「価値ある買い物」へ向かう。「人気コンテンツやソフト制作のノウハウが欲しいなら、制作プロダクションと資本・業務提携すればいいじゃない。テレビ局よりはるかに安くて価値がある買い物なんだから」 楽天から持株会社による提携を迫られたTBSの中堅幹部は、怒気を隠さず一気にまくしたてた。 テレビ局の媒体価値を一手に担っているのは、番組を制作する外部のプロダクションだといっても過言ではない。ドラマやドキュメンタリー作品は多くの場合、企画から制作、音入れやナレーションなどの編集まで施されてから局に納品される。ワイドショーやバラエティー番組にも、一社から複数社が参画する。かつては局制作が当たり前だった報道番組でさえ、制作プロダクションやビデオジャーナリスト集団の協力が欠かせなくなった。 制作プロダクションがノウハウを提供し、芸能プロダクションは所属タレントで番組を彩る。彼らの力を借りて作った番組を編成し、放送免許で認められた電波を飛ばして放送するテレビ局の本質は、文化企業や報道機関というより、スタジオや中継局、放送設備などのインフラをかかえた装置産業だといえる。

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