灯籠流しがつなぐもの

執筆者:六車由実 2014年2月7日
カテゴリ: 社会 カルチャー
エリア: アジア

利用者さんのひとことから

 少し前のことになる。昨年の6月のある日のこと。入浴の介助をしているときに、昭和2年生まれの佐藤トヨさん(仮名)が、こんなことをつぶやいた。

 

 こうやってさ、ここでお風呂に入れてもらったり、楽しくやらせてもらったりしてさ、本当にありがたいと思うよ。わたしゃ、こういうところをさ、おかあさん(長男の嫁)にも見てもらいたいだよ。ずっと前からそう思ってた。そうしたら、おかあさんも「ありがたいね。よかったね」って言ってくれると思うんだよね。……どうしたら、おかあさん、すまいるほーむに見に来てくれるかな。学校の参観日みたいなのがあったら来てくれるかな。参観日があったら、みんなうんと喜ぶよ、きっと。

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執筆者プロフィール
六車由実(むぐるまゆみ) 1970年静岡県生まれ。民俗研究者。デイサービス「すまいるほーむ」管理者・生活相談員。社会福祉士。介護福祉士。2008年に東北芸術工科大学准教授を退職し、静岡県東部地区の特別養護老人ホームの介護職員に転職。2012年10月から現職。「介護民俗学」を提唱し実践する。著書に『神、人を喰う』(第25回サントリー学芸賞受賞)、『驚きの介護民俗学』(第20回旅の文化奨励賞受賞、第2回日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞)。
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