深層レポート 日本の政治
深層レポート 日本の政治(71)

側近は切歯扼腕「改革傍観」は首相の深謀か

2005年12月号
カテゴリ: 政治 金融
エリア: 日本

 情報政治学者の高瀬淳一名古屋外国語大学教授は近著で、日本の政治は財政事情の悪化を背景に「利益分配政治」から「不利益分配政治」の時代に入りつつあり、これに伴い政治家の手法も、田中角栄元首相が開発した利益分配を武器にする「角栄型」から、小泉純一郎首相が確立した「巧妙な言葉遣い」と「劇的な政治決断」を武器にする「小泉型」に転換していかざるを得ないだろうと指摘し、次のように予言している。「私は、これからの首相は、どの政党の出身者であっても、この〈小泉型政治手法〉を踏襲するか、少なくとも意識せざるを得ないと思っている。〈小泉型〉は政界の変人がもたらした一時の突然変異ではない。角栄後の政治リーダーの何人もが『ミニ角栄』をめざしたように、『ミニ小泉』を志向する政治家も、おそらくつぎつぎと現れることだろう」(『武器としての〈言葉政治〉』講談社選書メチエ) 福祉予算の削減や増税など不利益を分配する政策を実現しようとすれば、野党はもとよりマスメディアや世論、選挙に不安を感じる与党議員からも反対に遭い、政権は危機に瀕する可能性が大きい。「一内閣一不利益分配」の「首相使い捨て」時代が到来しかねない。これを回避する方法は首相が言葉と行動で国民を魅了し、「痛みに耐えて頑張ろう」という雰囲気を醸成する以外にない。その実例を示したのが小泉首相だという分析だ。

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