ドイツの退屈な女王

執筆者:名越健郎 2005年12月号
エリア: ヨーロッパ

 ドイツ史上初の女性宰相、アンゲラ・メルケル・キリスト教民主同盟党首(51)は、「ドイツ版鉄の女」の異名と裏腹に、「地味で退屈な女性」といわれる。 牧師の娘で、物理学者として東ベルリンの研究所に勤務した。ベルリンの壁崩壊後、市民政党の報道官を務めていた時、ドイツ統一の父・コール元首相の目に留まって政界入り。「コールの娘」と呼ばれる。子供はおらず、再婚した物理学者の夫との二人暮らし。社民党との「大連立」では、主要閣僚ポストを社民党に奪われ、「権力なき女王」(週刊誌シュテルン)になりかねない。520万人という戦後最悪の失業者、欧州で最低レベルの成長率、東西の経済格差など前途は多難だ。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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