ベトナムに急接近する中国 そして日本は取り残される?

執筆者:松本毅 2006年1月号
カテゴリ: 国際

近年、日本が友好関係構築に励んできたベトナム。そこには、勢力拡大を図る中国に対抗する狙いがあった。[ハノイ発]北京、上海など中国主要都市で二〇〇五年四月、相次いで発生した反日デモによって、一気に注目を集めるようになったベトナム。中国への一極集中リスクの大きさを肌で感じた日本企業関係者が、連日のように事業可能調査を目的にベトナムを訪れる。清水建設など現地に事務所を置く日系の大手建設会社へは工場建設の見積もり依頼が前年の三倍以上の件数で寄せられるほど。観光客の増加もあり、ハノイやホーチミンの主要ホテルは予約がほとんど取れない状況が続いている。ちょっとしたベトナムブームの到来だ。 政治的に安定しており、治安が良く、国民の多くが親日的。そして労働コストが中国の半分から三分の二程度。これが日本企業をベトナムに誘引する要素である。日本政府もこの数年、地政学的な戦略からベトナムとの友好関係の構築に力を注いできた結果、「極めて自然な同盟関係」(服部則夫・駐ベトナム大使)の構築に成功した。 十一月には親日派の代表的な存在でもあるベトナムのファン・バン・カイ首相(七一)の肝いりでボー・ホン・フック計画投資相(六〇)が訪日。カイ首相と同じく知日派、親日派で知られるフック計画投資相自らが日本の主要企業を個別に訪問してベトナムの魅力を訴える一方、日本経団連も全面的にベトナムの経済発展をバックアップする意向を表明した。二〇〇五年度の日本政府による対ベトナム政府開発援助(ODA)の金額は特殊要因を除くベースで初めて一千億円を超える。〇五年度には日本のODA相手国として中国を抜き、ベトナムが第三位になるのはほぼ確実視されている。

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