憲法改正をめぐる「政界対立軸」の大変貌

執筆者:野嶋剛 2006年1月号
エリア: アジア

いつの間にか、自民党内の考え方もガラリと変わっていた。新たな政界構図のなかで、改憲はどう論議されていくのか。「今日の憲法は一番大事なところを外しておる。だから私は怒った。あれは『第一次』草案で、いずれ『第二次』草案を作らないといけないんです」 十一月二十二日、東京・品川の新高輪プリンスホテル。自由民主党立党五十年を記念する党大会で、新憲法起草委員長を務めた森喜朗前首相が誇らしげに新憲法草案を読み上げた。立党五十年にして、初めての快挙。ところが、それを聞く改憲の大御所、中曽根康弘元首相の表情は深く曇っていた。同氏は早々に会場を後にし、その足で都内の別のホテルで開かれた憲法問題のシンポジウムに出席し、冒頭の痛烈な草案批判を吐き出した。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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