国内イスラム勢力から突き上げを喰らうプーチン

2006年1月号
カテゴリ: 国際
エリア: ロシア

 双頭の鷲に、ドラゴンと闘う聖ゲオルギーをあしらったロシアの国章に、国内のイスラム教徒の不満が高まっている。国章には四カ所に十字架があり、多民族、多宗教国家のあり方を定めた憲法に反するというのが、イスラム教指導者らの主張だ。 プーチン政権とロシア正教が急接近していることへの危機感や、イスラム圏のチェチェン共和国などカフカス一帯で過酷さを増すイスラム勢力掃討への反感が背景にある。クレムリンは、仏教やユダヤ教も混在する複雑な宗教情勢を刺激するのではないかと神経を尖らせている。 シベリアを拠点にアジア部のイスラム教徒を束ねるアシロフ師が最近の記者会見で「プーチン大統領は、ロシアがキリスト教もイスラム教も認める世俗国家であることを示さねばならない」と口火を切り、各地の指導者も同調。クレムリンは御用神学者を使って「国章はイスラム教徒も参加するロシア議会で承認されたもの」と発言させるなど火消しに躍起だ。 ロシアでは最近、無神論国家を生んだ革命の指導者レーニンの遺体を赤の広場から「追放」し、埋葬すべきだとの主張が目立つ。大統領とロシア正教会が糸を引いているとの見方が有力だが、統治に教会の権威を利用する手法が、多民族国家のほころびを広げかねない状況だ。

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