日銀「量的緩和」解除を牽制する景気に自信のない自民党

2006年1月号
エリア: 日本

 金融の量的緩和政策解除に熱意を燃やす日銀と、政府・自民党の鞘当てが一気に激しくなってきた。「政府の言いなりとみられるわけにはいかない」(福井俊彦総裁)と年度内の解除も模索する日銀に対し、自民党は中川秀直政調会長が「金融政策に関する小委員会」を設置。景気刺激策を続けるよう求める日銀批判の急先鋒、山本幸三議員を委員長に据えた。 政府・与党での議論は、量的緩和だけでなく、金融政策の目標に名目成長率を設定するなどのインフレターゲット的な仕組みの是非にも発展している。これが導入されれば、日銀は緩和の解除どころか強化を迫られる可能性もある。 こうした動きの背後には、政府からの独立を定めた日銀法の改正も視野に入れ、財政再建の援護射撃にあたらせようという思惑があるようだ。山本氏らは日銀の保有株売却も促しているが、それは含み益を財政再建に回すとともに「株式売却で市場の株価が崩れれば景気の脆弱さが証明され、緩和解除は延期」という「日銀封じ込めシナリオ」(市場関係者)の一部と見られている。 前日銀審議委員の中原伸之氏や嶋中雄二UFJ総合研究所投資調査部長など、速水日銀時代のゼロ金利解除による景気悪化を痛烈に批判してきたエコノミストたちを自陣に取り込み、政府・自民党の理論武装は着々と進む。最近の金融市場では「解除先送りは必至」(外資系証券エコノミスト)という見立てが支配的になりつつある。

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