「日米合作」で歪められた米国産牛肉の輸入再開

2006年1月号
カテゴリ: 国際 社会
エリア: 北米 日本

 牛海綿状脳症(BSE)の発生で約二年間停止している米国産牛肉の輸入が、生後二十カ月以下の若い牛に限り、近く再開される見通しだ。 限定条件の最大の根拠は、日本で生後二十一カ月と二十三カ月のBSE感染牛が確認されたという事実があるからにすぎない。今回の解禁は懸案をひとまず解決したいという日米両政府の思惑だけが先行した中途半端な打開策だ。そのため、今後輸入条件が蒸し返され、改めて政治問題化する可能性は極めて高い。 輸入再開の条件をめぐる日米交渉が迷走した最大の要因は、農林水産省と外務省の二元外交だ。 二〇〇三年末、米国西部のワシントン州でBSE感染牛が見つかったことを受け、日本政府は直ちに米国産牛肉の輸入を停止した。そのわずか四日後、農水省はどのような手続きで貿易再開へ持ち込むかの具体的な手順を練り上げた。 農水省が描いた手続きは、第一段階として米国でBSE検査(日本と同じ全頭検査)を受けさせた牛の肉は直ちに輸入を再開し、第二段階で日本における検査条件を緩和して実質的に米国産牛肉を解禁する「二段階作戦」だった。 農水省の最大のミスは、正規の外交ルートを使わなかったことだ。牛肉の関税収入は畜産振興向けの目的税化されている。これが農水省にとって財務省に気兼ねすることなく使える“ポケットマネー”となっていることもあって、同省は米農務省との直接取引を望んだとみられる。

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