新型インフルエンザ「机上の対策」で未解決の課題

執筆者:沢木実緒 2006年1月号
カテゴリ: 社会
エリア: 日本

対策作りは後手に回った。国内で感染者が発生した際の「初動」でも後手に回れば、被害は甚大になる。より具体的な対策を急ぐべきだ。「まだドラフト(草案)の段階。『目次』のようなものだ」 来るべき新型インフルエンザの脅威に備え政府が策定した行動計画について、感染症の専門家はそう指摘した。 新型インフルエンザは、従来型とは異なるウイルスが引き起こすインフルエンザだ。十年から四十年の周期で発生するとされ、人類が全く免疫を持っていないため、いったん流行すれば全世界で多くの犠牲者が出ると恐れられている。過去には、世界で四千万人が死亡したと推定されるスペイン風邪(一九一八年)のほか、アジア風邪(五七年)や香港風邪(六八年)がある。 鳥類のインフルエンザ・ウイルスが人から人に感染しやすい型に変異して登場するというのが最も想定されるシナリオで、病原性の高いH5N1型の鳥インフルエンザがアジアに蔓延している現在、世界的に危機感が高まっている。二〇〇五年夏にはロシアや欧州でもH5N1型ウイルスに感染した鳥がみつかった。前回の香港風邪から三十七年、新型がいつ発生してもおかしくない。 厚生労働省は二〇〇四年八月に対策の基本となる報告書をまとめているが、これはあくまで専門家の提言にすぎず、具体策とはいえなかった。WHO(世界保健機関)は二〇〇五年五月に「世界インフルエンザ事前対策計画」を公表し、各国がこれを基準に自国民を守るための計画をつくるよう要請。厚労省は十月末になってようやく対策本部を立ち上げ、半月後に行動計画をまとめた。

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