「TPP推進」に立ちはだかる「米下院民主党」のカベ

執筆者:足立正彦 2014年1月15日
エリア: 北米

 1月9日、米議会の上院財政委員会、下院歳入委員会に在籍する超党派の有力議員が、通商交渉の権限を大統領に一任する大統領貿易推進権限(TPA)法案である「2014年超党派議会通商優先法案(H.R.3830, S.1900)」を米議会上下両院にそれぞれ提出した。TPA法案を提出したのは、上院財政委員会のマックス・ボーカス委員長(民主党、モンタナ州)、オリン・ハッチ野党筆頭理事(共和党、ユタ州)、下院歳入委員会のデイブ・キャンプ委員長(共和党、ミシガン州第4区)の3人の有力議員である。

 

 米議会が大統領に対してファスト・トラック権限としても知られているTPAを前回付与したのは2002年8月、ジョージ・W.ブッシュ大統領に対してであった。だが、イラク戦争を争点とした2006年中間選挙で共和党は惨敗し、民主党が上下両院で多数党となった第110議会開会中の2007年7月にTPAは失効している。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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