饗宴外交の舞台裏 (188)

初めて明かされた「日本と欧州ワイン」の深い繋がり

執筆者:西川恵 2014年1月21日
エリア: ヨーロッパ
 画期的な論文をまとめた野澤氏(筆者撮影)
画期的な論文をまとめた野澤氏(筆者撮影)

 昨年12月、東京・恵比寿の日仏会館で「ワインをめぐる人と風景」とのタイトルでシンポジウムが開かれた。ワインがさまざまな文化の交流と対話を仲介するツールとなっていることを考察したシンポジウムだが、この中で日仏会館フランス事務所の協力研究員、野澤丈二氏が「江戸期における欧州産ワインの普及」という興味深い報告を行った。

 報告は次のような内容だった。

 

 1、江戸時代、オランダの東インド会社の貿易船は毎年、長崎・出島のオランダ商館にワインを運んできたが、その量は伸び続け、17世紀末には年間3000-4000リットルになっていた。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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