チャベスの「反米宣伝」に利用されるスペインの立場

執筆者:波津博明 2006年1月号
カテゴリ: 国際 金融
エリア: ヨーロッパ 中南米

大言壮語で知られるベネズエラのチャベス大統領は、兵器売買契約でスペインのサパテロ首相も“自陣”に取り込んだ。 激しい反米姿勢でしばしば話題になるベネズエラのチャベス大統領が、ラテンアメリカ全体が左に傾く中、かつての「変わり者」から「主流の中の前衛」に位置を変えつつある。気まぐれ、強権体質の政治家が、ときには中南米の希望の星とまで持ち上げられる背景には、高騰する石油価格もあるが、今後、チャベスの勢いはとまるのか。 マールデルプラタ(アルゼンチン)に南北アメリカの首脳が一堂に会した十一月四―五日の第四回米州サミット。「この地を、FTAA(米州自由貿易地域)と新自由主義の墓場に」と叫んだチャベスが群集の歓呼で迎えられたのに対し、ブッシュ米大統領は「テロリスト」の罵声を浴び、米国が当初二〇〇五年中の創設を目指していたFTAAの進展はなかった。なにしろ、主催国アルゼンチンのキルチネル大統領が会議冒頭「ラテンアメリカの悲惨、貧困という社会的悲劇に関し、米国には逃れられない責任がある」と言い放つという雰囲気の最中だ。チャベスの言動は大々的に伝えられた。 さらに十一月末、ベネズエラが先にスペインとの間で合意していた兵器の購入契約が正式に結ばれた。総額十七億ユーロ(約二千四百億円)に上るこの契約は、スペインの兵器輸出契約としては史上最大。スペインは「攻撃用ではないので、問題ない」として、輸出中止を求める米国の圧力をかわし続けた。チャベスは「米国の圧力に抗しての英断に、フアン・カルロス国王はじめ全スペインへの謝意を表する」と、国王まで味方に位置付けてしまった。

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