港湾管理の覇権をめぐり「大英帝国の遺産」を争うドバイとシンガポール

 ドバイの国有港湾会社DPワールドは、十一月末にイギリスの港湾管理・フェリー大手のP&Oを三十三億ポンド(約七千億円)で買収することで合意した。 一八三七年創業のP&Oは大英帝国の象徴とも言える会社だった。社名のPはペニンシュラ(半島)、Oはオリエント(アジア)の略称。英国が七つの海を支配している時代に、英国からイベリア半島、中東、インド、中国にまで人や物資を運び、最盛期の一九二〇年代には五百隻もの船を有する海運会社だった。最近は海運の不況につれてリストラを始め、港湾管理、フェリーを柱とする会社に変わっていた。 ペルシャ湾の湾口に近い好位置にあり、“中東のハブ”として成長を続けるドバイには、P&Oは「海洋国家」の看板を手に入れるためにぜひ傘下に入れたい企業だった。 DPは二〇〇五年一月、港湾管理事業部門をもつ米鉄道大手CSXを十一億ドル(約千三百億円)で買収した。今や東南アジアやオーストラリア、中東など十五カ国に二十二のコンテナ・ターミナルを持つ。米欧アジアの十九カ国に二十九のターミナルを持つP&O買収が完了すれば、わずか一年で、香港の大手財閥系企業ハチソン・ワンポア、シンガポールの政府系コンテナ荷役会社PSAに続く世界第三位の港湾管理会社に躍り出る。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順