原子炉市場を一変させる「ウエスチングハウス買収」

執筆者:五十嵐卓 2006年2月号

本誌がお手元に届くころには、もう決まっているかも知れない。この争奪戦の結果は、世界のエネルギー需給に少なからぬ影響を及ぼす。「原子力産業の天下分け目の決戦になる。負けるわけにはいかない」 売りに出されている原子炉メーカー、米ウエスチングハウス(WH)の買収に向け、三菱重工業関係者は珍しく闘志をむき出しにする。原油、天然ガスなどエネルギー価格が急騰する中で、原子力発電が一九七〇年代以来の増設ブームを迎えようとしているからだ。WHの帰趨は世界のエネルギー情勢にも微妙な影響を与える可能性がある。 世界の商業用原子炉は加圧水型(PWR)と沸騰水型(BWR)に大別され、原子炉メーカーもPWR陣営とBWR陣営とに分かれている。WHは五七年にPWRを世界で初めて建設したPWR陣営の盟主であり、多くの基本特許、技術を依然として押さえている。PWR陣営には仏フラマトムと独シーメンスの原発部隊を統合して傘下に置いた仏アレバグループ、ロシア核工業公社などが名を連ね、日本メーカーでは三菱重工がWHと提携し、関西電力、九州電力などに原発を供給してきた。 対するBWR陣営は米ゼネラル・エレクトリック(GE)が盟主であり、日本では日立製作所、東芝がパートナーとなって、東京電力、中部電力などの原発を建設してきた。ただ、世界の原発はPWRが七〇%近くを押さえて優位に立っており、BWRがPWRと互角の勝負をしているのは世界でも日本市場だけといってよい。

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