流通業界から「そして誰もいなくなった」

執筆者:喜文康隆 2006年2月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

「時間的に把握される“世相の加速化”と、空間的に把握される“系(システム)の巨大化”とは、流通革命の背景をなす二つの大きな論理的主題である」(林周二『流通革命』)     * 十二月二十五日、NHKが流したニュースがのんびりクリスマスの宵を過ごしていた記者たちを仰天させた。「セブン&アイ・ホールディングス(HD)とミレニアムリテイリングが経営統合」――。休日の新聞各社の編集局は翻弄され、翌日ほとんどが朝刊一面トップで追いかけた。 さらに関係者を驚かせたのは、二十六日の鈴木敏文セブン&アイ会長と和田繁明ミレニアム社長の共同記者会見だった。質問を捌いたのが、経営統合の主役であるはずのセブン&アイの鈴木ではなく、和田だったからだ。時価総額六兆七千億円(一月十一日時点)のセブン&アイが、わずか二千億円強(全株式を取得したとして)でミレニアムを買収する。形の上では典型的な吸収型の経営統合であり、被買収側のトップがこうして積極的に統合の意味や狙いを語る例は記憶にない。 この異例の会見に今回の経営統合の本質が表れている。それは、流通革命を勝ち残ったかに見えるセブン&アイも、けっして未来まで約束されてはいないという現実である。

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