華字紙『世界日報』で読み解く「混迷タイ政情」の今後

樋泉克夫

 2月2日の総選挙は終わった。中央選挙管理員会は、全国9万4454投票所のうちの89.28%に当たる8万4325カ所で投票が実施されたと発表したが、ということは、1万カ所強の投票所が妨害などによって投票できなかったということになる。全国の投票率は47.74%で、前回2011年の75%を大きく下回った。

 2月11日には、中央選管が今回の選挙で投票が実施できなかった選挙区における再選挙を4月に実施する方向を打ち出した。しかし、投票中止となったクラビー、チュンポン、パンガー、プケット、ソンクラーなど南部9県は民主党の強力な地盤だけに、再選挙実施の見込みは立ちそうにない。

 治安当局は反タクシン派の58人ほどの幹部の出国禁止措置を講ずると共に、反タクシン運動の資金源追及に動き出した。資金提供者の1人と見られているインド系企業家の取り調べに乗り出す一方、各銀行の口座から資金提供企業の割り出し作業をはじめたようだ。

 今回の選挙結果と治安当局による一連の措置が、インラック政権(タクシン派)対反タクシン派の闘いの今後にどのような影響を与えるのか。反タクシン派の街頭行動にせよ、インラック政権が実施した総選挙にせよ、共に相手陣営に決定的ダメージを与えたわけではないことから、混乱した事態が短期間に解決することはないだろう。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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