中国軍人事に示された胡錦濤の「力と危機感」

執筆者:藤田洋毅 2006年2月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中国・台湾

地方を押さえ、軍掌握も着々と進む。胡の周りは次第に腹心で固められつつあるが、しかし、国全体はいっかな安定しない。 共産革命途上で国民党に惨殺された烈士の霊が中南海に現れ、共産党幹部に問い掛けた。Q「国民党は打倒したか」A「(台湾から)大陸に戻り(合弁企業などの)董事長になっています」Q「帝国主義は駆逐したか」A「(投資するため)財布を抱えて再来しています」Q「資本家は打倒したか」A「入党しました」Q「人民は牛馬のような労働から解き放たれたか」A「失業して労働する必要すらなくなりました」Q「婦女子は解放されたか」A「(売春婦などの)小姐になりました」Q「地主階級は、まだ生き残っているのか」A「不動産屋と名を換えました」Q「腐敗官僚は粛清したか」A「党中央に栄転しました」 北京でいま囁かれている小話だ。中国革命が追い求めた理想は、もはや笑い話にしかならない。中国の現実に対する痛烈な諧謔だ。もはや中国人は「天も地も恐れず、ただお金がないことだけを怖れる」ともいう。共産党への信頼はおろか最低限の畏怖すら人民が失いつつあるなかで、党自体が認めるように中国は危機多発期に入った。胡錦濤総書記は、二〇〇七年秋に予定する第十七回党大会に向け、政権基盤の強化を急がざるをえない。

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