貞さんから受け継いだもの(下)

六車由実
執筆者:六車由実 2014年3月9日
エリア: 日本

 村松さんからの第2報が届いたのは、帰りの送迎も無事終えた頃だった。検査の結果、右大腿骨頸部を骨折していることがわかったが、心臓疾患があるため手術はできない、したがって入院もさせられないということになり、直ちに搬送先である公立病院を出なければならなくなったという。とはいえ、今の状態では独り暮らしの市営アパートに戻すこともできないし、かといって6人いる子供たちはいずれも様々な家庭の事情を抱えていて貞さんを引き取ることができない。村松さんが掛け合って、公立病院の地域連携室の担当者が受け入れ先を探してくれることになったが、年末年始の休業が迫っているためか、どこも満床を理由に受け入れを拒否。漸く受け入れ先として見つかったのが、隣町の療養型の老人病院だったのだそうだ。貞さんはその老人病院に運ばれ入院したと村松さんは教えてくれた。

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執筆者プロフィール
六車由実 1970年静岡県生まれ。民俗研究者。デイサービス「すまいるほーむ」管理者・生活相談員。社会福祉士。介護福祉士。2008年に東北芸術工科大学准教授を退職し、静岡県東部地区の特別養護老人ホームの介護職員に転職。2012年10月から現職。「介護民俗学」を提唱し実践する。著書に『神、人を喰う』(第25回サントリー学芸賞受賞)、『驚きの介護民俗学』(第20回旅の文化奨励賞受賞、第2回日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞)。
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