ネオコンと決別した一般教書演説

執筆者:田中明彦 2006年3月号
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 北米 日本

 国際問題を観察するために一年に一つだけしか文書を読まないとしたら、何を読むべきか。筆者としてあえて選ぶとすれば、アメリカ大統領の一般教書演説ではないかと思う。世界で最も重要な国家の大統領が、自ら、アメリカの状態(state of the union)を語る文書だからである。二〇〇二年の一般教書演説における「悪の枢軸」(axis of evil)という表現が、いかにその後のアメリカの外交を物語っていたかを思い起こすだけで、そのことは理解できると思う。 したがって、今後のアメリカの動向を観察しようとするものにとって、一月三十一日の演説ほど重要な文書はないということになる。一体、今年の演説の特色は何なのだろうか。筆者の判断で最も重要なメッセージは、「孤立主義と保護主義の道」をとってはならないという部分である。このメッセージからさらに何を読み取るべきであろうか。 第一に、「孤立主義」という用語を使うことで、性急なイラク撤退論を退けようとの狙いがあるということである。 対テロ戦争が依然としてアメリカにとって最重要課題であることが確認されるとともに、性急な撤退は、「戦場をアメリカの水際まで移動させてしまう」と指摘する。ここで踏みとどまって、イラク再建に道筋をつけることが、アメリカ軍を安全に帰還させる道なのだというわけである。

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