北朝鮮「崔龍海」軍総政治局長の「粛清説」を追う

執筆者:平井久志 2014年3月7日
エリア: アジア

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の最側近とみられている崔龍海(チェ・リョンヘ)軍総政治局長(党政治局常任委員)の公開活動が今年に入り激減し、その去就に関心が集まっている。

 特に、韓国の脱北者が中心になって運営している「自由北韓放送」が2月28日に「崔龍海総政治局長監禁説」を報道、一気に注目が集まった。この報道で、金正恩第1書記が李英鎬(リ・ヨンホ)軍総参謀長、張成沢(チャン・ソンテク)党行政部長に続いて崔龍海軍総政治局長まで粛清しようとしているのではないかという観測が広まった。

 同放送は、北朝鮮内部消息筋の話として「2月21日午前6時ごろ、北韓(北朝鮮)軍保衛司令部所属の軍人30余名が自宅から出勤しようとした崔龍海軍総政治局長を連行し、同日午前9時ごろ、同じような数の保衛司令部の人員が人民武力部庁舎内の崔龍海総政治局長の事務所の文書などを押収した」とし、「崔龍海総政治局長の所在は不明だが、保衛司令部の内に監禁されているようだ」と報じた。

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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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