オバマ政権を悩ます「キーストーンXLパイプライン建設問題」

足立正彦
執筆者:足立正彦 2014年3月8日
エリア: 北米

 11月4日の2014年中間選挙の投票日まで8カ月足らずとなった。そんな中、民主党の中核的支持基盤である環境保護団体・活動家と労働組合が、賛否についてそれぞれ正反対の立場を示す難題がある。それが、キーストーンXL(KXL)パイプライン建設問題だ。カナダのアルバータ州からメキシコ湾岸のテキサス州の精製施設にまで、カナダ産オイルサンドから抽出されたタールオイルを日量最大83万バレル輸送する。全長約2,700km(1,700マイル)、総額54億ドル。オバマ政権は身動きが取り難い中で、非常に厳しい政治判断を迫られている。

 原油パイプラインであるKXLパイプラインの建設を認可するか否かのオバマ政権の判断は、これまで大幅に先延ばしされてきた。米国産原油開発と比較した場合、カナダのオイルサンド開発は温室効果ガス(GHG)を大量に排出するとの批判が環境保護団体・活動家から展開されており、活動家らは地球温暖化対策の観点からKXLパイプライン建設計画を問題視し、猛反発してきた。対照的に、民主党のもう1つの有力支持基盤である労組は、新規雇用が創出され、北米における新たなエネルギー・ブームを下支えすることになるとの理由で、推進の立場を鮮明にしている。パイプライン建設の認可プロセスを管轄している米国務省は、2012年大統領選挙前の同年前半に建設するか否かの判断を下す予定であった。だが環境保護団体・活動家に配慮して、大統領選挙キャンペーンが本格化する直前に、ヒラリー・クリントン国務長官(当時)が判断を先延ばしした経緯がある。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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