世界最大手「ミタル」の次なる狙いは新日鉄?

執筆者: 2006年3月号
タグ: 日本

 鉄鋼世界最大手のミタル・スチール(オランダ)が同二位のアルセロール(ルクセンブルク)に対しTOB(株式公開買い付け)を仕掛けている。 ミタルの狙いは、高級鋼板に強いアルセロールを傘下に収め、利幅の大きい自動車向けなどの売上を伸ばすことだとみられる。TOBが成功すれば世界三位の新日鉄の三倍の粗鋼生産量(年間一億トン)を誇るガリバーが生まれ、「価格の主導権のほか、主要な販路も握られてしまう」と、国内鉄鋼大手も危機感を募らせる。 ただ、アルセロールが本拠を置くルクセンブルクの政府や、同社の従業員を国内に二万七千人も抱える仏政府がミタルの動きを強く牽制しており、TOBが順調に進むとは考えにくい。そこで注目されているのが、「(アルセロール買収に失敗すれば)ミタルの矛先は間違いなく日本の鉄鋼会社に向かう」(大手投資銀行関係者)というシナリオだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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