松下「プラズマ絶好調」なるがゆえの死角

2006年3月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

 松下電器産業が業績回復の総仕上げを迎えつつある。二〇〇六年三月期決算は八兆八千四百億円の連結売上高に対し、営業利益は四・五%の四千億円を突破する見通しで、中村邦夫社長の公約である五%にあと一歩と迫った。過去五年にわたる改革で、松下はプラズマテレビに代表される、部品から最終製品まで自社技術を活用した「垂直統合モデル」を確立した。この独自路線が完成度を高める今、それこそが松下の死角になるとの指摘がある。「産業的な波及効果がほとんどないのですよ」。松下が一千八百億円をかけてプラズマディスプレイパネルの第四工場を兵庫県尼崎市に建設すると発表した今年一月、工場を誘致した地方自治体幹部は溜息をついた。松下の新工場で潤うのは、設備工事業者や工場の清掃、メンテナンス業者など。工場の稼働に継続的に関与できる産業はほぼ皆無だ。昨年秋に稼働した尼崎第三工場でも正社員は一割程度。第四工場では地元から全体の六割を新たに採用するといっているが、パート採用の域を出ない。埋立地の護岸の内に構える巨大な工場は、外部との関わりを一切拒絶するようにも見える。 松下の主力商品であるプラズマテレビ「ビエラ」は自社技術、自社部品の集積だ。最も重要な部品であるプラズマパネルは松下プラズマディスプレイ社が、画像処理LSI(大規模集積回路)のPEAKSエンジンは松下グループ・半導体社が生産。外部調達を最小限にし、技術、知的財産の流出を抑える。

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