【インタビュー】ポール・ルセサバギナ 「ルワンダの教訓」から目を背けないで欲しい

執筆者:草生亜紀子 2006年3月号
エリア: アフリカ

 血で血を洗う民族抗争により百万人もの犠牲者が出ても、世界から見放され、捨て置かれる絶望とはいかなるものか――平和な国に暮らす人間には想像さえ及ばない。「何ひとつ確かなものがない状況のなか、私たちもいずれ殺されることだけは明らかだった。それだけは確信しました。その時、自分の取るべき道がはっきりとわかったのです」 一九九四年、アフリカ中央部の小国ルワンダでフツ族とツチ族の対立が激化し、百日間に百万人が殺される大虐殺が起きた。そのさなか、ポール・ルセサバギナさん(五一)は、自らが支配人を務めていた首都キガリの高級ホテルに千二百六十八人を匿い、手当たり次第ツチを殺すフツ民兵の手から守った。ルセサバギナさん自身はフツだが、妻はツチである。 公開中の映画『ホテル・ルワンダ』は、この実話に基づいて作られた。脚本家からルセサバギナさんの話を聞いた北アイルランド・ベルファスト出身のテリー・ジョージ監督は、撮影準備のために虐殺現場を訪れ、「私の人生において、この映画を作る以上に重要なことはないと確信した」と語っている。 ルセサバギナさんは、静かな声で当時の様子を語る。「家族が殺し合い、教会では神父が信徒を殺し、道路に死体を積み上げて、その上でビールを飲むような連中がいた。自分が目にしている光景が信じられなかった。ルワンダ全体が狂ったようになっていたのです。

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