【ブックハンティング】徹底した「現場主義」がアルカイダの足跡を洗い出す

執筆者:小川忠 2006年3月号
カテゴリ: 国際 書評

 テロが止まらない。世界を震撼させた9.11事件以降、国際社会はテロの根絶に血まなこになって取り組んできた。にもかかわらず悪性ウイルスが拡がるように、世界各地で国際テロ組織アルカイダが引き起こしたテロが発生している。 アルカイダと聞くと、我々の視線は、首魁オサマ・ビンラディンの潜伏先とされるアフガニスタンやパキスタン、連日テロが発生するイラク、欧州のイスラム系移民社会に向かいがちだ。確かに対テロの主戦場は中東、南アジア、欧州というのは常識的な捉え方だ。だが、インドネシアでたびたび大規模なテロが繰り返されているにもかかわらず、アルカイダの東南アジアでの活動について本格的に論じた本はそれほど多くない。 本誌連載筆者・竹田いさみ氏の『国際テロネットワークアルカイダに狙われた東南アジア』は、こうしたアルカイダ認識の空白領域を埋める。東南アジアは彼らにとって、いかなる利用価値があるのか。著者は、謀議の場所、武器の調達先、人材発掘、資金洗浄などを分析して、アルカイダがいかに東南アジアを重視し、その国際戦略に巧妙に活用してきたかを描き出す。 アルカイダは世界最大のイスラム国家インドネシアではなく、まずフィリピンに目をつけた。本書によれば、彼らは既に一九八八年にビンラディンの義兄をマニラに送り込み、慈善団体を隠れ蓑にして秘密テロ組織を合法的に運営し、東南アジアでの組織の拡充やテロ計画の立案を進めていた。

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