いま再び過熱するアメリカの移民論議

執筆者:ルイス・ジェイコブソン 2006年3月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

中南米系有権者を敵に回さず移民規制を論じるのは至難の業ながら、中間選挙を控え政治家たちは立場表明を迫られている。[ワシントン発]移民の受け入れはどうあるべきか、そして既に国内にいる不法滞在者をどう処遇すべきか――アメリカにとって古くて新しいこの議論が再び沸騰している。 世論はどちらかといえば、移民歓迎よりも締め出しの方に振れている。この傾向は、昨年十二月半ば、米下院が近年稀に見る移民に厳しい改正移民法案を可決したことにも顕著に現れた。法案の中で論議の的となったのは、二十二億ドルをかけてカリフォルニア州とアリゾナ州の一部、千キロ強にわたって新たにフェンスを築き、メキシコからの不法入国を防ぐという部分だ。メキシコ国境沿いの地域住民の多くがフェンスを歓迎する一方、メキシコのフォックス大統領は壁の建設は「不名誉で恥ずべき行為」だとした上で、「アメリカ経済を守る役目など果たしはしない」と非難した。 おおざっぱにいうと、アメリカ社会は移民問題をめぐって二つに割れている。一方は、現在一千百万人と推定される不法滞在者がさらに急増を続けていることに不安を覚えており、低賃金で働く不法滞在者はアメリカ人の仕事を奪うばかりでなく、地元の公立学校や警察、公共サービスにとって厄介な「お荷物」だと主張する。加えて二〇〇一年九月十一日の同時多発テロ以降、アメリカ人の多くが出入国管理の不備は国家の安全保障を揺るがすと考えるようになっている。

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