ヤマハ発動機が嵌った“民生品輸出”に潜む罠

執筆者:五味康平 2006年3月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 中国・台湾

 ヤマハ発動機が中国に無人小型ヘリコプターを無許可で十数機輸出していたことが発覚した。これら十数機は半径二百メートル程度の範囲で無線遠隔操作するタイプで、農薬撒布や航空測量用の写真撮影などに使われる。日本では産業用に広く普及しているが、改造すれば容易に毒ガス攻撃や無人偵察に転用可能。経済産業省は「広義の安全保障管理品であり輸出許可は不可欠」と判断し、ヤマハ発の告発に踏み切った。 ここまでならばヤマハ発の単純ミスとも解釈できる。だが、本社への家宅捜索などで、同社はGPS(全地球測位システム)とジャイロスコープを備え、あらかじめデータを入力したコースを無線誘導なしで航行できる無人ヘリも輸出していたことが明らかになり、意図的な違法輸出の疑いが出ている。 家電製品や玩具にも使われる民生技術を組み合わせた無人ヘリはハイテク製品とは言えない。ただ、多数の技術を組み合わせ、小型軽量で複雑な機能を安定して発揮する製品にするのが簡単なことではないのも確か。有人衛星打ち上げに二回成功している中国も、ジェット戦闘機は依然としてスホーイなどロシア製を輸入している。欧州の対中武器禁輸が解ければ、仏からミラージュを調達するのも確実だ。中国の航空宇宙技術にはまだ限界がある。日本ではあまり高度な技術にみえない無人ヘリも、中国には自力開発できない製品なのだ。

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