国際論壇レビュー
国際論壇レビュー

クリミア併合を傍観「地政学的均衡」狙うオバマの「危険な世界観」

会田弘継
執筆者:会田弘継 2014年3月23日
 ウクライナのヤツェニュク首相は支援を求めたが…… (C)EPA=時事
ウクライナのヤツェニュク首相は支援を求めたが…… (C)EPA=時事

 旧ソ連帝国の失地回復(レコンキスタ)なのか。ウクライナ・クリミア半島併合へと向かうプーチン・ロシア大統領を指して、ドイツのメルケル首相は「まるで違う世界に生きている」とつぶやいた。ケリー米国務長官は「21世紀に19世紀の行動をとっている」と批判した。評論家づらはやめてほしい、とこの2人に対しては言いたい。

 手前勝手な「失地回復」に乗り出した核大国に、「唯一の超大国」も欧州の覇者も手をこまねく。国際社会も打つ手がない。だとすれば、尖閣諸島や南シナ海で中国が一歩踏み出したとき、どうなるか――。安倍晋三首相をはじめ、アジアのリーダーたちは不安を募らせているはずだ。

 グルジアとウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟希望に耳をふさぎ、ポーランドへのミサイル防衛配備を取りやめ、「リセット」と称して、東欧よりもロシアとの関係重視の姿勢を見せてきた。もう軍事力行使はご免だ、とシリア内戦解決もロシアに頼り切り、イラン核問題交渉も同様だ。そんなアメリカが送るシグナルを、プーチンは「当然のごとく、正確に読み取った」。ロシアが「勢力圏」を広げても良いとアメリカが認めている。ロシア孤立化策など長続きしない――。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
会田弘継
会田弘継 青山学院大学地球社会共生学部教授、共同通信客員論説委員。1951年生れ。東京外国語大学英米科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを歴任。2015年4月より現職。著書に本誌連載をまとめた『追跡・アメリカの思想家たち』(新潮選書)、『戦争を始めるのは誰か』(講談社現代新書)、訳書にフランシス・フクヤマ『アメリカの終わり』(講談社)などがある。
comment:1
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順