横田夫妻が生み出した「日朝」新局面(下)福田政権時代の合意に戻れるか

平井久志
執筆者:平井久志 2014年3月24日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 朝鮮半島

 韓国政府は最近の日朝の対話ムードに神経をとがらせている。韓国は1990年の金丸訪朝、2002年の小泉訪朝で「出し抜かれた」というトラウマを持っている。日韓関係がどんどん悪化する中で、日本が北朝鮮と急接近するのではないかという疑念が消えない。

 

日朝接近に神経とがらせる韓国

 2013年5月に飯島勲内閣官房参与が突然、訪朝した際には韓国に通告がなかったと反発した。今回は横田夫妻の要望で実現した面会だけに表だった批判は避けているが「日本が隠れて何かやっている」という疑念を持っているのは確かだ。過去のトラウマが日朝間の動きを過大評価させている。日朝の基本的な立場の違いを見れば日朝関係がそれほど急激に進展するはずはないのだが、韓国政府は日朝首脳会談のようなハプニングがあるのではという疑念を隠さない。

 最近の日本メディアの日朝関係に関する報道の中には韓国の情報機関のリークではないかと思わせるものがある。韓国の情報機関は北朝鮮ウォッチに人と予算を注ぎ込んでいるだけに豊富な情報を持つが、意図的に日本メディアにリークすることで、日本の水面下の動きを牽制しているようにもみえる。

 その意味では日本が北朝鮮との対話に動くことは日韓関係に好影響を与える側面があるという奇妙な事実にたどり着く。オランダでの日米韓首脳会談が実現する運びだが、これは対北朝鮮政策の協議を中心に行われる。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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