ブックハンティング・クラシックス
ブックハンティング・クラシックス(14)

不遇な運命をたどったスペイン内戦「最良の研究書」

執筆者:逢坂剛 2006年3月号
カテゴリ: 国際 書評
エリア: ヨーロッパ

『スペイン革命――全歴史』The Spanish Revolutionバーネット・ボロテン著/渡利三郎訳晶文社 1991年刊 わたしが、スペイン内戦に興味を持ち始めた一九七〇年代には、関連資料はまだ容易に手にはいった。古書店に行けば、内戦の研究書や回想記がたくさん並んでいたし、数こそ少ないが新刊書も刊行された。 しかし昨今では、スペイン内戦について語られることはめったになく、その記憶はすでに歴史の彼方へ、消え去ろうとしている。第二次世界大戦、太平洋戦争でさえ終戦記念日の前後にしか、新聞記事にならないような時代である。となればそれより先、一九三六年から三九年にかけて戦われたスペイン内戦が忘れられるのは、無理もないことかもしれない。 内戦とはいえ、スペイン内戦は列強を巻き込んだイデオロギー戦争、代理戦争だった。すなわち、合法的な共和国をスターリンのソ連が支援し、フランコ反乱軍をヒトラーのドイツと、ムソリーニのイタリアが後押しした。この図式は、それからほぼ十年後に勃発した朝鮮戦争、二十年後に始まったベトナム戦争と、後押しする国こそ変わったものの、よく似ている。歴史は繰り返す、というよりも、列強はスペイン内戦が残した負の教訓を、まったく生かしていなかった、というべきだろう。

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