東アジア経済「統合の果実」は米欧の手に

執筆者:戸川秀人 2006年4月号

アジア債券ファンドの主力商品は米ステート・ストリートと英HSBCが取り仕切る。アジアの主役を狙う中国の思惑も絡み、競争は熾烈。 一月二十七日、金融庁は米大手銀行ステート・ストリートの資産運用部門の日本子会社であるステート・ストリート信託銀行に対し業務改善命令を出した。投資信託などの新規受託業務を一カ月間停止させるという厳しい内容だ。これを受けて財務省も、二月一日に同行を日本国債の入札から一時的に排除すると発表した。「金融庁と財務省は米国の虎の尾を踏んだかもしれない」 米財務省やホワイトハウスの反応が気に懸かったのだろうか。対日外交政策を担当する米政府当局者は、身内の米銀よりも日本が米国から受けるかもしれない有形無形の圧力を案ずる口ぶりだ。 ステート銀は運用資産総額が一兆四千億ドル、顧客の有価証券を保管・管理するカストディー資産は十兆一千億ドルにも達する巨大金融機関。設立は十八世紀末に遡り、大西洋を挟んだ欧州との金融取引を手がけていた。現在でもニューヨークのウォール街ではなく、北東部ニューイングランドのボストンに本社を置いている。 米国の金融業の歴史そのものとも呼べるステート銀の米政官界への影響力は知る人ぞ知る。前出の米政府当局者が日米間の軋轢を心配した理由も、ステート銀のロナルド・ローグ会長兼CEO(最高経営責任者)が米金融界でいま最も注目を集めている人物だからだ。

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