自動車メーカーの勝負を分ける電子技術の「摺り合わせ力」

執筆者:井上久男 2006年4月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

 トヨタ自動車は自動車メーカーとして世界に例のない規模の半導体生産工場をもつ。操業開始時の十七年前に三百八十人だった広瀬工場(愛知県豊田市)の従業員は、今では約千三百人。同工場が注目を集めるようになったのはハイブリッド車プリウス用の技術がきっかけだ。トヨタは高熱状態になっても電流がロスせずに流れる特殊な半導体を自前で開発、ここを使って生産した。 コストの半分近くが電子部品と言われるプリウスは「電子技術の固まり」だ。大雑把にいえばブレーキ、エンジン、ハイブリッドシステム、電気モーター、バッテリーの五つが連携しながら動くわけだが、ここでもカギはコンピューター。各パートを制御する五つのマイコンが互いに情報を出し合い、常時、車を動かすのに最適な「結論」を出す。 もちろんハイブリッドでなくてもコンピューター化は加速している。いまやシートベルト制御、エアバッグ制御といった分野の電子化は不可欠で、その性能を高めるにはマイコン同士を上手に組み合わせる技術、つまり「統合能力」が問われてくる。 トヨタのあるエンジニアは「電子技術の統合能力はトヨタが世界ナンバー1」と自信を見せる。そもそも電子技術の統合能力とは何なのか。これを理解するためには、自動車の様々なパートの制御マイコンを各個独立した存在と考えるのでなく、「自動車全体を網羅するシステム」として捉える必要がある。

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