シュトラウス思想を曲解した「レジーム・チェンジ」

執筆者:会田弘継 2006年4月号
エリア: 北米

 ネオコン(新保守主義者)とは対極にある思想家レオ・シュトラウス(一八九九―一九七三)が、ネオコンを裏で操った思想家のようにいわれた。遺族も当惑した。「シュトラウス派」とされてきた代表的ネオコン論客ロバート・ケーガン(邦題『ネオコンの論理』の著者)は突然、シュトラウスとは無関係だ、と言い出した。 なぜだろう。その謎解きを試みるには、まずシュトラウスの人生と業績をたどってみる必要がある。 シュトラウスは世紀末にドイツ中部マールブルク近くで「田舎の保守的な正統ユダヤ教徒の家庭」に生まれ、育った。軍務を経て、マールブルク、ハンブルクなど四つの大学で哲学を学び、ニーチェ哲学に傾倒した。ハンブルク大で博士課程を終えた後、フライブルク大学で研究者として一年を過ごしている。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
会田弘継(あいだひろつぐ) 関西大学客員教授、ジャーナリスト。1951年生まれ。東京外語大英米語科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを務め、現在は共同通信客員論税委員、関西大学客員教授。近著に『世界の知性が語る「特別な日本』』 (新潮新書)『破綻するアメリカ』(岩波現代全書)、『トランプ現象とアメリカ保守思想』(左右社)、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)など。訳書にフランシス・フクヤマ著『政治の衰退』(講談社)など。
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