グローバル・ビジネスの新地政学
グローバル・ビジネスの新地政学(16)

タイはどこへ行くのか――「ASEAN中枢国」の苦悩

 インラック首相「失職」の可能性も (C)AFP=時事
インラック首相「失職」の可能性も (C)AFP=時事

 タイが出口の見えない政治混乱のなかで、苦しんでいる。首都バンコクと周辺地域に出されていた非常事態宣言は3月19日に解除されたものの、憲法裁判所 は2月2日に実施した総選挙を無効と判定、やり直しを命じた。インラック政権の正当性は事実上、否定され、国を代表する権力は宙に浮いた状況。さらにインラック政権が進めたコメの買い取り制度をめぐって、インラック首相が国家汚職追放委員会から告発されており 、「政権がいつ“即死”してもおかしくない」(タイの大学教授)状況。東南アジア諸国連合(ASEAN)の中心であり、東南アジア最大の生産集積地となったタイの混乱は、日本企業のアジア展開にも影を落としつつある。

 

衰えない外資の投資意欲

 まずは、昨年秋以降の動きを時系列で整理してみよう。インラック首相は汚職で懲役2年の実刑判決を受けている兄のタクシン元首相の帰国に道を開こうと昨秋から動き、11月に恩赦法案を下院で強行可決した。反タクシン派はこれに猛反発、「汚職政治の復活を許すな」を合い言葉に反タクシンのキャンペーンをバンコクなどで展開。主要な官庁を占拠し、行政を混乱させるとともに、大規模なデモを繰り返した。これを受け、インラック首相は「民意を仰ぐ」として12月に下院を解散。対抗して反タクシン派は年明けから「バンコク・シャットダウン」と称する市内中心部の封鎖を強行、最大野党の民主党は総選挙をボイコットするとともに、多くの投票所で投開票を妨害した。

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