タイ「シリントーン王女」突如訪中の意味

樋泉克夫
執筆者:樋泉克夫 2014年4月16日
エリア: 中国・台湾

 タイのシリントーン王女が訪中した。タイの政治的混乱が小康状態に入った傍証と言えるかもしれない。前回の訪中は2013年4月だったが、その前年の4月にも訪中しており、その際には政権掌握を目前にした習近平主席(当時、副主席)と面談している。1981年の初訪中から数えると、すでに30回は遥かに超え、訪問先は新疆ウイグル、チベットも含め、中国全土の主要都市に及んでいる。おそらく世界の要人のなかで、彼女ほど訪中回数を重ねている例は見当たらないだろう。

 4月9日、彼女を北京の釣魚台国賓館に迎えたのは、党の外交責任者で国務委員の楊潔篪(前外相)。楊委員は、タイ王室の中タイ友好関係への貢献を高く評価すると同時に、両国関係の実務的協力の進展と、来年の中タイ国交樹立40周年を機に両国関係のさらなる緊密化を求めた。これに対し王女は、文化、教育、科学技術における両国関係の深化を目指すと語った。

 翌10日には、全国政治協商会議の俞正聲主席と会談している。同主席は、(1)タイはこの地域において最も深化した協力関係にある友邦である。(2)両国の戦略的協力関係は確立され、より深化している。(3)両国関係の安定的発展は、タイ王室の関心と力添えを抜きにしては成立しない。(4)両国の友好を考えるうえで、文化、教育、科学技術面におけるシリントーン王女の貢献は称賛に値する――と表明している。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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