台湾学生運動の敗者は「国民党」「民進党」そして「中国」

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2014年4月17日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 中国・台湾
 学生たちが立法院を立ち去った日、台北では「勝利」を祝う人々が練り歩いた。「捍衛」は「守れ」の意味(筆者撮影)
学生たちが立法院を立ち去った日、台北では「勝利」を祝う人々が練り歩いた。「捍衛」は「守れ」の意味(筆者撮影)

 中台サービス貿易協定の性急な推進に反対する学生たちが24日間にわたって「三権」の1つである立法院を占拠するという異例の事態は、馬英九政権から大幅な譲歩を引き出した学生側の「勝利」に終わった。ただ、今回の運動を振り返るとき、勝者よりもむしろ敗者となった側の姿を正確に見極めることが重要だ。

 そもそも立法院占拠という過激な行動がこうも見事に成功し、さらに、学生たちが警察力で排除されなかったのはなぜか。そして、今後の台湾政治と中台関係にどんな影響を与えるのかについて考えてみたい。

 

「意趣返し」された馬総統

 立法院の占拠の実現は、学生たちの「作戦能力」の高さにあったことは疑いない。立法院への突入に際して、複数のチームを東西南北のそれぞれの門で機動的に動かし、最も警備の薄いところから突入するという高度な作戦を実行した。

 占拠中には「ロジスティックス」「医療」「イベント」などの10を超えるチームをつくって各自に分担させ、目的意識と任務を与えた。学業に影響が出ないように立法院に講師を招いて補習コースも実施。情報発信を他言語で行って国際メディアを味方につけた。これらの現実的なアイデアが、今回の運動で一気に有名人になった林飛帆氏と陳為廷氏という2人のリーダーシップによって、軍隊か企業を思わせる効率で実施され、ついつい理想主義に走ってばらばらになりがちな学生たちの結束は最後まで崩れなかった。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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