副大統領が狙った巨大なウズラ

名越健郎
執筆者:名越健郎 2006年4月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

 1963年のケネディ米大統領暗殺事件で、UPI通信の至急報“Kennedy Shot”を「ケネディが撃った」と勘違いした外信部記者がいたという伝説があるが、チェイニー副大統領が2月にテキサス州南部で狩猟中、同行の弁護士、ハリー・ウィッティントン氏(78)を散弾銃で撃ったニュースの至急報も“Cheney Shot”だった。 副大統領がウズラを狙って引き金を引いた際、予告なしにその地点に踏み入った弁護士が被弾した不慮の事故とされ、地元警察は偶発事故として処理。共和党の熱烈な支持者であるウィッティントン氏も退院し、「副大統領にすまなく思う」との声明を出した。 ホワイトハウスはこれで一件落着と踏んでいるが、現職の副大統領が銃で人を撃ったのは、1804年にバー副大統領が政争のもつれからハミルトン元財務長官と決闘し、撃ち殺して以来2度目。黒幕的存在感や心臓病などの健康不安でイメージの悪いチェイニー副大統領の人気は地に堕ちた形だ。 全米ライフル協会(NRA)の20年前の銃擁護スローガン――。「銃は人を撃たない。人間が人を撃つ」 現在のスローガン――。「銃は人を撃たない。副大統領が人を撃つ」 チェイニー副大統領が同行の弁護士を撃った後、救急車が現場に駆け付けた。

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執筆者プロフィール
名越健郎
名越健郎 1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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