米国から見た朝鮮半島情勢(下)なぜ日韓関係は悪化しているのか

武内宏樹
執筆者:武内宏樹 2014年5月3日
カテゴリ: 国際
エリア: 北米 朝鮮半島

 日韓関係は、韓国が地理的に最も近くにある外国ということで、日本にとって特別な意味をもつ2国間関係である。一方、米国にとっては、日本も韓国も東アジアの安全保障を担う上で不可欠な同等の同盟国である。

 2009年から2012年まで米国太平洋艦隊司令官を務め、2011年の東日本大震災の折には「トモダチ作戦」を指揮したパトリック・ウォルシュ氏が、退役後故郷のテキサス州ダラスに戻って筆者が所属するサザンメソジスト大学タワーセンター政治学研究所の上級研究員に就任している。彼とことばを交わした折、東アジアの安全保障を確立する上での最大の障害は何かと尋ねたところ、日本と韓国がいがみ合っていることだという答えが即座に返ってきた。

 折しも1カ月ほど前に、米国のバラック・オバマ大統領の仲立ちで、オランダのハーグにおいて、日本の安倍晋三首相と韓国の朴槿恵大統領の初めての首脳会談が「ようやく」実現した。米国の大統領に仲立ちしてもらわないと首脳会談を開けないというのは、日韓関係が異常な状態にあるということを示している。米国にしてみれば、日韓の対立は金正恩政権を利するだけで、北朝鮮の核開発問題を解決する上で何のプラスにもならない。そればかりか、地域安全保障への米国の関与に対する信頼性を損ない、東アジアのパワー・バランスを不安定化させかねない。それゆえに、米国は日韓関係改善の糸口を何とか見つけ出したかったのであろう。

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執筆者プロフィール
武内宏樹
武内宏樹 サザンメソジスト大学(SMU)政治学部准教授、同大学タワーセンター政治学研究所サン・アンド・スター日本・東アジアプログラム部長。1973年生れ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)博士課程修了、博士(政治学)。UCLA 政治学部講師、スタンフォード大学公共政策プログラム講師を経て、2008年よりSMUアシスタント・プロフェッサーを務め、2014年より現職。著書に『党国体制の現在―変容する社会と中国共産党の適応』(共編著、慶應義塾大学出版会、2012年)、Tax Reform in Rural China: Revenue, Resistance, Authoritarian Rule (ケンブリッジ大学出版会、2014年)。ほかに、International Relations of the Asia-Pacific、Japanese Journal of Political Science、Journal of Chinese Political Science、Journal of Contemporary China、Journal of East Asian Studies、Modern Chinaなどに英語論文を掲載。専門は、中国政治、日本政治、東アジアの国際関係及び政治経済学。
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