「GM改革の行方」にトヨタが覚える胸騒ぎ

執筆者:井上誠 2006年5月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

もしGMの改革がうまくいかなければ……北米市場を席捲する勢いの好調トヨタに、“摩擦”の悪夢が去来する。 年間赤字一兆円超の病める巨人、自動車の世界最大手、米ゼネラル・モーターズ(GM)がようやく経営改革に自信を見せ始めた。 四月三日、GMは懸案だった金融子会社GMAC株の売却を発表。同社株五一%は米投資会社サーベラス・キャピタル・マネジメントなどの企業連合に渡り、金額は計百四十億ドル(約一兆六千五百億円)にのぼる。GMは今年三月、二〇〇五年通年の最終赤字を約百六億ドル(一兆二千五百億円)と、一月時点の発表より二十億ドルも下方修正し、GMAC売却の行方を危ぶむ観測が一時広がった。それだけに、リチャード・ワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)らGM経営陣は胸をなで下ろしたに違いない。リストラしても残る不安 一連の再建劇は、二月に就任したジェローム・ヨーク社外取締役のシナリオ通り。ヨーク氏は米国の老練投資家カーク・カコリアン氏率いる投資会社トラシンダの顧問で、かつてクライスラー(現ダイムラークライスラー社クライスラー部門)乗っ取りを企てた人物。一月末にトラシンダが保有GM株を九・九%まで買い増し、再建圧力を高めて取締役席を掴みとった。ただ今回は乗っ取りよりも、かつて大学院卒後に入社したGMと米自動車産業の活性化に貢献したいという思いが強いようだ。

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