ようやく「家計革命」が始まった

執筆者:喜文康隆 2006年5月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

「社会を、投資家階級、企業家階級、労働者階級の三者に分類するのが便利であろう。これらの階級は重複し、同じ個人が給与を得、商取引をし、投資をすることもありうる」(ケインズ『貨幣改革論』一九二三年刊)     * 二〇〇六年三月は日本の経済・金融にとって、エポック・メイキングな一カ月だった。 日本銀行は九日の政策委員会・金融政策決定会合で二〇〇一年三月から五年にわたって続いた金融の量的緩和政策に終止符を打った。 やはり日銀が二十四日に発表した資金循環統計では、二〇〇五年十二月の家計の金融資産残高は前年比七十五兆円増えて、初めて千五百兆円に乗せた。 三十一日、二〇〇五年度の取引を終えた東京証券取引所第一部の時価総額は、〇四年度比四九%増の五百五十四兆円と、バブル期の一九八九年三月末を上回り、年度末としては十七年ぶりに過去最高を記録した。 金融の量的緩和政策の終息は、日本銀行による経済の正常化宣言である。家計(個人)金融資産の千五百兆円乗せは、デフレ下のゼロ金利にもかかわらず、富裕層を中心に富の蓄積が進み、日本経済が本格的なストック経済に移行しつつあることを象徴している。そして東証第一部の時価総額が最高を更新したことは、「株価の先見性」がすでに日本経済の新しいステージを前向きに読み込みつつあるということだ。

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