EUで噴出するエネルギー安保という名の国家エゴ

執筆者: 2006年5月号
エリア: ヨーロッパ

 二〇〇七年七月のエネルギー市場の完全自由化をにらみ、欧州連合(EU)の結束が大きく揺らいでいる。エネルギー安全保障の視点から各国内に保護主義が台頭し、主要加盟国間の対立を招いているためだ。二十五カ国体制になって二年となる「拡大EU」に暗い影が差し込んでいる。「我々は正しい道のりを歩んでいる。もはや無駄にできる時間はない」(バローゾ欧州委員長)。三月二十三、二十四日、ブリュッセルで開かれたEU首脳会議は新たな共通エネルギー政策の策定に着手することで合意した。だが議論は「各論」に踏み込まず、行動計画を一年かけて策定することを決めただけの形式的な会議に終始した。

カテゴリ: 環境・エネルギー
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