「金正恩一元支配」へ進む北朝鮮(上)ナンバー2降格の意味

平井久志
執筆者:平井久志 2014年5月10日
カテゴリ: 国際
エリア: 朝鮮半島

 朝鮮中央通信は5月1日、新たに建設された金正淑(キム・ジョンスク)平壌紡績工場の労働者寮で同日行われたメーデー慶祝労働者宴会を報じる中で、宴会で祝辞を述べた黄炳瑞(ファン・ビョンソ)党組織指導部第1副部長を「朝鮮人民軍総政治局長である朝鮮人民軍次帥」の肩書きで報じた。この報道で、軍総政治局長が崔龍海(チェ・リョンヘ)氏から黄炳瑞氏に交代したことが確認された。崔龍海氏は5月2日に党書記への就任が明らかになり、金正恩(キム・ジョンウン)政権の事実上の「ナンバー2」の座から転落し、大幅に降格されたことが判明した。そして、新たな側近勢力のリーダーとして黄炳瑞氏が台頭した。

 北朝鮮では4月8日に党政治局会議、4月9日に最高人民会議第13期第1回会議が開催された。崔龍海氏は4月9日の最高人民会議で国防委員会副委員長に選出され、党政治局常務委員、軍総政治局長、党中央軍事委副委員長に加えて、国防委副委員長というポストを獲得し、事実上、金正恩第1書記に次ぐ「ナンバー2」の地位を獲得したばかりであった。筆者は、崔龍海氏の地位は、金正恩第1書記の「唯一的領導体系」確立のプロセスの中で築かれたもので過大評価は避けるべきであると指摘した。しかし、そのわずか半月後に崔龍海氏が軍総政治局長を解任され、大幅に降格されるとは予測できなかった。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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