天安門25周年前夜「中国知識人たち」の受難

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2014年5月12日
カテゴリ: 国際 政治 社会
エリア: 中国・台湾

 かつてのソ連で、こんな古典的なジョークがあった。収容所に3人の男がいて、1人が「私の罪は同志カガノーヴィチ(スターリンの側近)を批判したことです」と言った。もう1人が「私の罪は同志カガノーヴィチを賛美したことです」と言った。そこにいた最後の1人に、2人が「君は?」と聞いたら、「私がカガノーヴィチだ」と答えたという話である。

 これは、あらゆる人間を逮捕してしまうスターリン時代に象徴される粛正の大規模さ、無差別性を表現したもので、3人目の人物はポポフだったり、フルシチョフだったり、いろいろと入れ替わるのだが、ジョークそのものの出来がいいので今日まで語り継がれている。

 1989年6月4日に起きた天安門事件の25周年が近づく中国で、いま起きているのは、このジョークのような状況ではないかということが中国の微博(ウェイボー、中国版ツイッター)でささやかれていて、なるほどと思った。

 中国で著名な人権派弁護士である浦志強が、先週、北京の公安当局に拘束された。天安門事件の真相解明を求める非公開の研究会に出席した後だった。ほかにも数名が拘束されたという。節目を控えて、当局が神経をとがらせていることが理由であることは確かだろう。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順