空前の拡大路線で鉄鋼世界最大手を築いたミタル会長だが、「品質」と「企業統治」というアキレス腱もかかえている。[ロンドン発]「世界の鉄鋼王になる」――一九八〇年代、祖国インドを離れる際、自らにそう誓ったラクシュミ・ミタル(五五)は、わずか二十年あまりで夢の実現に王手をかけている。今年一月、ミタルの名を冠した鉄鋼世界最大手ミタル・スチールが、世界第二位のアルセロール(本社ルクセンブルク)にTOB(株式公開買い付け)を仕掛けるという大胆な策に出たことは周知の通りだ。この買収が実現すれば、グループ全体の粗鋼生産が日本の年間総生産量一億一千万トンに相当する巨大な鉄鋼メーカーが誕生する。
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