ダライ・ラマ望郷の思いにつけ入る中国

2006年6月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中国・台湾

「年内にもダライ・ラマが一時帰国する」――二月下旬から、こんな噂が飛び交った。二〇〇二年から始まった在インドのチベット亡命政府特使と中国側の話し合いは、二月の五回目の交渉を経て「着々と進展している」との情報が中国系香港紙を中心に噴出。報道に応えるかのように、三月十日のチベット蜂起四十七周年を記念するダライ・ラマの声明は「中国を巡礼の目的で訪問したい」「中国の変化と発展をこの目で見たい」と望郷の念を吐露した。そのうえ亡命政府は四月の胡錦濤国家主席訪米に際し、在米のチベット人や支持団体に抗議活動を自粛するよう「かつてない強い口調」で指示したからだ。 中国共産党中央の中堅幹部と国務院国家宗教事務局の若手幹部によると、二月の交渉で「ダライ・ラマが一時帰国する際には、中国仏教の四大聖地の一つ、五台山(山西省)訪問を認めると特使に伝えたのは事実」だ。亡命政府が直後に胡訪米期間中の抗議自粛を呼びかけたのも「狙い通りだった」という。 中国は一貫してダライ・ラマにチベット独立を放棄するよう求めている。二月の交渉では独立放棄の証明として、(1)台湾との交流を停止する(2)(中国が邪教と認定した)法輪功を徹底的に非難する声明を発表する――の二条件を提示したという。

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