「まちづくり三法」改正の意外な落とし穴

2006年6月号
エリア: 日本

「中心市街地活性化」の名のもとに、再び出店規制が始まろうとしている。規制が流通業界にもたらす変化とは――「本当なら、もうひと踏ん張りしていただきたかった」 五月七日、東京・目白にある学習院で行なわれた田島義博・学習院院長の葬儀に参列した流通企業の長老がポツリと語った。田島氏は学習院院長としての役職もさることながら中内功・ダイエー創業者(故人)、伊藤雅俊・イトーヨーカ堂創業者、岡田卓也・イオン(旧社名ジャスコ)創業者などとの親交が深く、近代的な流通システムを構築しようと事業を拡大してきた新興流通企業経営者の理論的支柱だった。 その理論的支柱の田島氏にとって現在、国会で審議中の通称「まちづくり三法」の改正案は、自らの存在意義を否定されるくらいの悪法に映っていたに違いない。何しろ、田島氏の一生の研究テーマだった「流通」を狙い撃ちした改正案だからだ。しかも、田島氏は一九九七年に「まちづくり三法」の作成に通産省(現経済産業省)の審議会会長として一役買っていただけに、その修正を余儀なくされる今回の改正案に「心穏やかでなかったはず」(関係者)だという。「まちづくり三法」は中心市街地活性化法、都市計画法、大規模小売店舗立地法から成るが、改正案の対象となるのは中心市街地活性化法と都市計画法だ。現行の法律では中心市街地の衰退に歯止めがかからないとして、中心市街地での規制緩和と、逆に郊外開発への規制強化を柱としている。問題となっているのは、郊外開発規制となる都市計画法の改正だ。この改正案では、延べ床面積が一万平方メートルを超える大型店は近隣商業地域、商業地域などのごく限られた場所にしか出店できなくなる。対象となるのは商業施設だけでなくホテル、市民ホールなども含まれるが、こちらはそもそも郊外の農地や人里離れた場所にある工場跡地などに建設されるはずもない。要するにイオンやイトーヨーカ堂などの巨大な商業施設(ショッピングセンター=SC)の建設に歯止めをかけるためのものなのだ。

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