ドーハ・ラウンドが大難航。WTOの交渉決裂を見越した各国はすでに動き始めた。ひとり日本だけが……。 ベトナムのホーチミンで六月初めに開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の貿易相会合は、奇妙な「二重構造」をしていた。 会議に参加したのは二十一カ国・地域の閣僚。最終日の六月二日に特別声明を採択し、難航する世界貿易機関(WTO)交渉の早期決着を強い口調で促した。だが、この威勢のいい宣言は各国の表向きの顔にすぎない。会議の舞台裏で各国の代表団が見せる表情は全く異なっていた。 国際会議場の片隅や、市内の高級ホテルの一室。まるで人目を避けるかのように、米国や韓国、タイなどの官僚が会合を重ねる姿が、市内のあちこちで目撃されている。
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